それまでの喧噪が嘘のように
ひとたび竹林に入るや
先ほどの横丁界隈雑踏の息ずきも
一切黙し、音さえ消えていた
竹は円筒の空洞
空気が閉じ込められて
振動し節々が空気の振動を反響させ
消し去る現象が竹藪で起こる
マダケは120年に一度
花を咲かせては
白骨のように
竹林ごと一斉に枯れていく
枯れにし名は
心のしおりにはさんだ
竹の花
きれいごとが詰まった竹の空洞
名をなくし
竹林を抜ける
竹の幅と竹筒の周りの
比率を求める
円周率の読み上げだけが
破竹の勢い
終わりのない無限に遠く
有限に近く聞こえた
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