思い出す空 思い出の空
大空に向かって大の字に 寝っ転がって
見上げれば 大空に翻る地球旗
白地に青く大空染めて
ああ美しい地球の旗よ
なんのためでもなく なんにもよらず
染まって 染み入る世界は
覗いちゃいけない空の深さ 青の深さ
藍の思い出 新月に仕込み
満月に織りあがる藍染の衣
藍甕の古井戸を覗き込むと
井戸の底に写し出された青空
青空の淵に頑是ない少年の顔
思い出せない空 空っぽの空
寝そべって覗いた 空気穴 空の深呼吸
青空の淵に 呼吸の深さを感じ
息を吸い込む青年
青年の心音が忘れた空に響き
流れ去る雲が光をさえぎり
無明の闇を拡げる
わずかな波動が肢体を震わせ
音にならない振動を感じた
耳に聞こえない地球の声
感じているのに聞こえないふり
呟きに耳さえ傾けず ただ黙って聞いて
饒舌が 寡黙を守らせている
手探りのうちに目を閉じれば
見えるのに見えないふり
見ている空があるのに
見守っていて欲しいと 慧眼が盲目にさせて ただ黙って目を伏せ
地球の事を知っていたつもりが
知ったかぶりする無知の知
無知のありか ないないづくしの
ないものねだりに戯れる融通無碍
青空の淵に 厚顔無恥な絵空事が浮かぶ
見えていたのは 地球の古井戸の底深くに
写し出された老人の後ろ姿
白地に青く 大空 染めて
ああ美しい地球の旗よ
なんのためにでもなく なんにもよらず
染まって 染み入る 世界には
無地で無垢になる 色のない
生まれてそのままの 透明な命あり
命の光よ 命の光は命によって知る 命の鼓動
無音の世界に 一滴の澪が垂れ
水滴となっては 流れ出る
一筋が 水脈となり いのちの輪を結ぶ
地球のへその緒 唯一無二の地球
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