Snapの次世代ARグラス「Spectacles」の実力を体験 日本でも「ソーシャル疲れのない世界を楽しんで」

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2011年に米国で生まれたSnapChatが今春に日本オフィスを設立。11月にはじめて開かれた法人向けイベントでは、長谷川代表がアプリ内の「バーチャル試着」やサングラス型カメラ「Spectacles」のARコンテンツ対応などを紹介。「日常の自己表現を楽しむ」コンテンツファーストのプラットフォーム展開を目指す意気込みを語りました。


(撮影:筆者)

11月8日、Snapchat(スナップチャット)を運営するSnap Inc.の日本オフィス(Snap Japan)が、東京・青山にてクリエイター/メディア向けイベント「Snapchat in Japan 2022」を開催しました。会場にはサングラス型ARデバイス「Spectacles」(スペクタクルズ)や、ARを活用したバーチャル試着機能の体験コーナーもあり、訪れたSnapchatクリエイターやメディア関係者にアピールしていました。

Snapchatは「毎日の自己表現」を楽しむメディア


(出所:イベント投影資料、撮影:同上)

主要サービスであるSnapchatは、写真や短編動画(スナップ)を仲のいい友達やパートナー、家族に向けて送り合うカメラアプリです。「レンズ」「フィルター」「Bitmoji」などのAR機能を使って、自分の顔写真を様々な形に彩ったり、アバター風に仮装できるのも大きな特徴です。

そんなSnapchatを、Snap日本法人代表の長谷川倫也(はせがわ・としや)氏は「まったく新しい形のコミュニケーションメディア」と説明します。

「例えばInstagramは、たまに行くオシャレなレストランとか素敵な場所、非日常を投稿するメディアではないかなと思います。でも、誰もがインスタ映えする料理を毎日食べているわけではないでしょう? それに、TikTokみたいな動画メディアは、投稿のハードルがもっと上がっていて、頻繁に投稿するのはタレント性のある一部の方々ばかりで、ユーザーの多くは消費側に回っている。それらに対してSnapchatは、(生活の)裾野が一番広いところ、例えばいつも食べているカップラーメンでも、日常の自己表現に仕上げて気軽にシェアできる。そんなメディアです」(長谷川氏)

日本では面白いエフェクトが豊富な創作アプリだと思われがちですが、実は誰もが使えるコミュニケーションメディアなのだ、と長谷川氏は強調します。

現在の月間アクティブ・ユーザー数(MAU)は全世界で6億人以上。アメリカ、フランス、イギリス、オーストラリア、オランダといった主要国では13歳~24歳の90%に浸透し、1ユーザーあたりのアプリ起動回数は30回/日以上に及ぶことも。いずれもSnapchatのストロングポイントです(出所:イベント発表資料)。

「Snapchatは、ありのままの素朴な自分を、毎日の自己表現としてお友達と共有できるメディアです。だからこそ、ユーザーのみなさんは、1日に30回も(アプリを)開いてくれるんじゃないかなと思います。まるで友達と雑談するように」(長谷川氏)

Z世代に受け入れられた4つの設計思想


(出所:同上、撮影:同上)

Snapchatがなぜ、世界中の若いユーザーに支持されているのか。長谷川氏は、アプリ開発の根底にある4つの設計思想を解説します。

1つは、いま・この瞬間のスナップを撮れるUI(ユーザー・インターフェース)であること。他のチャットアプリは、画像やメッセージの送信相手を選択することから操作が始まります。ゆえにユーザーは、送信先(友達や家族)にどう思われたいかをつい意識して、(撮影前から)写真を作り込む気持ちになりやすい。

対するSnapchatは、アプリを起動すると真っ先にカメラが立ち上がり、(撮影後に)送信相手を選択するUIです。後からARフィルターで加工するとはいえ、まずはありのままの自分を撮ることに意識を向けられます。

2つめは、ユーザーの投稿がデフォルトで削除されること。ユーザー自身がコンテンツの閲覧時間を限定できるため、ビデオも写真も1度見ると消えていきます(保存設定も可能)。この仕様によって、「まるで普段の会話のように、何気なく消えていく会話体験」が実現されています。

3つめは、SNSにありがちな、承認欲求を高める機能(「いいね!」ボタンやスタンプ、コメント)がないこと。すべてのユーザーがキラキラしていなくてもいい、自分ではない誰かを演じなくてもいい、パーフェクトじゃなくてもいい。ありのままの自分を、プレッシャーも見返りもなくシェアできるように。主流の機能を持たない背景には、そんな設計思想があります。

4つめは、ユーザー同士が特別に仲のいい相手と、さらに距離を近づけられるUXデザインであること。お互いの瞬間をスナップして、普段の会話のように交換したコンテンツが、何気ない一瞬として消えていく。この世界観の中で、ベストフレンドと気軽におしゃべりをしている感覚で使えます。

つまり、Snapchatの設計思想は、オーディエンスファーストの動画サービスではなく、コンテンツファーストのコミュニケーションメディアなのです。

「ソーシャル疲れ」から自由になれる場所Snap

結果として、ユーザーの90%が「Snapchatはハッピーなプラットフォームである」と感じているとのこと。


(撮影:筆者)

「現在、Snapchatを日本で普及させるために、20名近くの学生インターンの方と一緒にお仕事をさせていただいております。彼らの少し上の世代、いわゆるソーシャルメディア第1世代の方は、ネットで時には自慢大会だったり、マウントの取り合いをして、ひいては『ソーシャル疲れ』なんて言葉も生み出してしまいました。

でも、(第1世代よりも)若い方ってデジタルネイティブなんですよね。スマートフォンも彼らの身体の一部。身体の一部が『ソーシャル疲れ』を起こすって、慢性的な肩こりとか腰痛を抱えるようなものじゃないですか。きっとだから、いつも自分が肩肘張らずにシェアできるSnapchatが、(Z世代を中心とした)若い方にご支持をいただいているのではないかなと思います。

そしてもちろん、若い方だけではなく、30代・40代以降の方も、そんな自由でハッピーな環境を求めているんじゃないでしょうか」(長谷川氏)

バーチャル試着やARグラスの体験コーナーも

Snapchatは、スマートフォンを通じて大切な人と繋がれるカメラアプリであると同時に、買い物や試着など「購買体験とエンターテインメント」をARで結ぶ役割も担います。体験コーナーで、その機能を体験してみました。


Snapコードで企業ロゴの視認性も高まる。(撮影:筆者)

スマートフォンのメインカメラで店頭に掲示されたSnapコード(ARマーカー)を読み込むと、アプリ画面がインカメラの映像に切り替わり、自分が商品を試着するシーンを見ることができます。


画面内でカラーバリエーションで試すことも。(撮影:筆者)

長谷川氏いわく、ARを使ったバーチャル試着は「ブランドの認知度が44%アップ、コンバージョンが2倍となり、返品率が1/4になる」とのこと。

Spectacles 4はコンテンツ開発に良好

また、Snapはフルワイヤレスのカメラ内蔵サングラス「Spectacles」の開発・展開を2015年から進めています。初期製品からある撮影・録音機能に加え、最新型の第4世代(非売品)では初めてARコンテンツに対応し、撮影後にスマホアプリを起動しなくても、SnapchatのARフィルターを通した世界が直接見られます。

筆者も試着してみたところ、ARディスプレイ部の輝度は明るくみやすいと感じるもの。デモムービーを見るに、屋外でもARコンテンツを見ることができるようです。

ただし、初代JINS MEME(センサー内蔵メガネフレーム)のように、耳にかけたときの重量バランスの悪さ、掛け心地の固さなど、日常的に使うメガネとして考えると難があります。「バッテリー駆動時間は30分」との報道(Ars Technica)もあり、あくまでコンテンツ開発用のデバイスであるという印象を持ちました。

クリエイターが、自身で制作したSnapchatのARフィルターを「ARグラスで見たらどうなるか」確認するには良いでしょう。メガネのように折りたたんで持ち歩けますし、Spectacles用のARフィルターが屋外利用を想定したVPS(ビジュアルポジショニングシステム)と連携できるのであれば、魅力的なデバイスとなるはず。

駆動時間の長い有線接続タイプは、取り回しが不便。しかしフルワイヤレスタイプは、重量増加・サイズ増大を受け入れてバッテリー容量を増やさないと、長時間の運用が難しい。現在のバッテリー技術やSoC・パネルの消費電力では避けようがないトレードオフを、Snapがどう受け止めて、市販製品の開発に取り組むのか気になるところです。


最新版のSpectacles 4を試用できるコーナーも。(撮影:筆者)

日本向けARコンテンツ開発も進むかSnap


Spectacles 4の魅力を語る秦優氏(デザイニウム社)(撮影:筆者)

Snap Japanは、日本のクリエイターの方々にもSpectaclesを先行提供し、ARフィルターを共同開発しているそうです。今回のイベントに登壇した株式会社デザイニウム取締役の秦優(はた・ゆう)氏は、xRコンテンツ開発企業から見たSpectacles 4のメリットとして、(1)スマートフォンを目線の高さに持ちあげ続けなくても、現実世界とリンクしたARが体験できること、(2)特定のランドマーク(場所・目印)に反応したARコンテンツを体験できること(カスタムランドマーカー機能)、(3)6億人以上のSnapchatユーザーにARコンテンツが提供しやすくなることを挙げました。

より広いシーンで活用できる、総合的なARプラットフォームの展開に取り組むSnap。SnapchatとSpectaclesがAR体験をどのように変えるのか、今後の展開に注目です。


Spectacles 4を装着した様子。(撮影:筆者)

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(参考)Spectacles

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