「ディスクロニア:CA」は今世代の国産VRゲームのひとつの到達点だ エピソード1を徹底レビュー

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今これを読んでいるあなたが、VRゲームに求めるものは何だろうか。短時間で爽快なプレイができるリズムアクション? 目の前に敵が押し寄せる、臨場感のあるシューティング? あるいは、想像を超えた恐怖が襲いかかるホラー?

そんな小さなジャンルの話をしていない? 現実を超えたドラマチックな体験がしたい?
それなら、ぜひDYSCHRONIA: Chronos Alternate (ディスクロニア: CA)をオススメしたい。

東京クロノス」「ALTDEUS: Beyond Chronos」に続く、MyDearestの手がけるVRゲーム「ディスクロニア:CA」エピソード1は、今世代の国産VRゲームとしてはひとつの到達点と言っていい。それほどの完成度だ。ゲームへの没入感、操作周りの快適性、盛り込まれた多くの遊び、そしてキャラクターへの感情移入と、どれをとってもVRでしか成し得ない圧倒的な体験が詰まっている。

本稿では重要なネタバレを避けつつ、本作の特徴や魅力を紹介していく。もちろんまっさらの状態でプレイしたい方は、読む前に即購入をオススメするが、まだ買うか悩んでいるという方はぜひ読んでいただきたい。それだけこのゲームには、多くのVRユーザーに届けたくなるほどの熱量が込められているからだ。

夢によって守られた都市で起きた、起きるはずのない殺人事件

本作の舞台は、犯罪発生率0.001%の海上都市「アストラム・クローズ」。この世界では粒子汚染が広まっており、常に危険が伴う。だが、外界から守られたアストラム・クローズでは、あらゆる不安が事前に排除されているそうだ。

その理由が、都市のシステム「拡張夢」の存在だ。ナノマシンを投入された市民は夢の中で魚のような姿となり、互いの夢を共有することで不安をなくし、犯罪を未然に防いでいる。拡張夢の中には数え切れないほどの光の魚たちが泳いでおり、その美しさは息を呑むほどだ。

――しかし、人々がシステムに完全管理されたアストラム・クローズは、言ってしまえば“ディストピア”だ。市民に知られると都合が悪い情報が隠されるなど、平和と管理システムによる支配が表裏一体となっている。

そんな犯罪の起こるはずのない都市で、都市の創設者「アルバート・ラムファード」博士が殺されるところから事件が始まる。管理局に着任したばかりの特別監察官である主人公「ハル・サイオン」は、この事件の捜査を任されることとなるのだ。

新人であるはずのハルが重大な事件を任されるのには大きな理由がある。彼は特殊能力を持つ「変異体」と呼ばれる存在で、物体から過去の記憶を読み取る「メモリーダイブ」の能力を持つ。さらに、記憶を読み取った人物の一部の過去の行動を変えられるという、とんでもないおまけ付きだ。

だが、ハルはラムファード博士が行った変異体の実験に参加し、過去の記憶を失っている。プレイヤーはこのハルと同じく過去に何が起きたのか知らない状態で、事件に挑んでいくことになってしまう。

事件解決のカギを握る能力「メモリーダイブ」

本作においてメモリーダイブは、事件解決のカギを握る重要な特殊能力だ。ゲーム中、カメラや人形など光を放つアイテムを左手で触ってトリガーボタンを握ると、そのアイテムを持っていた人物の過去の記憶を読み取ることができる。

メモリーダイブで読み取れる記憶は、アイテムの所有者の視点から描かれる。事件の犯行現場で何が起きたのかが分かるのはもちろん、ときにハルが忘れていたさまざまな人物との意外な接点も判明する。

特にラムファード博士は、かつて変異体を保護していた人物だったため、ハルとの接点がとても多い。だからこそ、なぜ博士が殺されたのか、なぜ博士は変異体を巻き込んだ実験を行ったのかなど、捜査を進めるたび謎も深まっていく。

そして、もうひとつ重要なのが、メモリーダイブした人物の行動を変化させ、過去の出来事を改変する能力。ほとんどチートのような能力で、捜査の最中行き詰まった状態を打破するのに役立つ。だが、残念ながら何でも自由に過去を改変することはできない。あくまで過去に潜れるアイテムのうちの一部のみだ。

これらメモリーダイブを駆使して捜査をしていくのがハルの役目だが、特別監察官の仕事はそれだけにとどまらない。事件をきっかけにメンタル汚染されてしまった市民のメンタルケアをするのも、大切な仕事となる。

内容は、拡張夢で汚染された市民を探し、表示されたパネルを光の軌道にあわせてタッチしていく簡単なもの。だが、事件の背景を知る「アーカイブ」の閲覧が解放される条件となっているので、積極的に行っていきたい。

少女に与えられた「過去に戻って場面をやり直す」能力

現場の捜査やメンタルケアなどを繰り返し、ハルは事件の真相に迫っていく。しかしそれと同時に、ハルはある人物から命を狙われるようになる。

まさに命の危機に瀕するハルだが、その際、謎の少女によって「過去に戻って場面をやり直す」ことができるようになる。いわゆるゲームオーバーからの“死に戻り”だが、失敗した時間軸から分岐し、また新たな未来を切り開けるようになるのだ。

なお、命を狙われる場面では、追跡者から隠れてやり直す「ステルス」パートもあった。物陰に身を隠し、その場に落ちているアイテムを投げることで、追跡者の目を盗んで移動するシーンは緊迫の連続。物語の分岐次第ではプレイしないで本編を進めることも可能だが、ぜひ時間を戻して一度は体験してもらいたい。

圧倒的没入感によって「命」を吹き込まれたキャラクターたち

ゲームにおけるリプレイ機能を物語に落とし込んだ本作では、このようにゲームシステムの物語上における説得力があり、遊んでいて没入感が非常に高い。操作周りも違和感がなく、左右のスティックでスムーズ移動とワープ移動を使い分けられるなど、快適さも没入感に一役買っている。

この圧倒的没入感もあり、登場人物たちへの感情移入もしやすく感じた。ハルの捜査を支えてくれるナビゲーターロボットの「リリィ」は、シリアスになりやすい場面でも癒やしを与えてくれる。彼女は頭をなでてくれとせがむ場面もあり、思い入れを持つプレイヤーも増えそうだ。

監察官の先輩で、兄貴分のアッシュ。ハルとともに暮らしてきた「変異体」のノエルと、その姉のマイア。これまでのシリーズ作以上に身振り手振りで動く個性的なキャラクターたちは、声優による熱演もあり、まさにその場にいるような息づかいを感じるほどだった。

また、本作は全体を通して“触れる”ことが印象的なゲームでもあった。リリィをなでることはもちろん、ドアを開けるときにセンサーに触れたり、アイテムを掴んでメモリーダイブしたりと、触ってアクションすることが多い。それが理由からか、世界やキャラクターたちの距離感も一段と近くに感じられた。VRという最新コンテンツであるのに対し、肌感覚を大切にしたゲームであることはとても興味深く感じる。

プレイヤーが動いて真実を明かしていく審問パート

エピソード1最大の見どころとなるのは、アストラル・クローズを司るAIユーティスの前で行われる「審問」パートだ。

本パートでは、これまでの捜査で集めた証拠を提示し、AIが出した判決を覆して、真実を導き出すのが目的だ。現場は仮想空間内で再現され、その中で犯人の足取りを追っていくこととなる。

面白いのが、犯人が現場でどう行動したかをプレイヤー自身が動いて再現することだ。緊張感が漂う中、これまでの捜査で見つけた情報から推測し、行動に移して正解かを確かめる。これまでの謎にピースがどんどんハマっていく感覚はミステリーの醍醐味だが、このパートは事件を自らの“手”で解決しているという感覚が非常に強いのだ。そして真実を明らかにした瞬間は恐ろしいほど気持ち良い。間違いなくVRならではの体験ができる唯一無二のシーンだろう。

これからディスクロニアをプレイする読者へ

さて、本作が遊びたくなったプレイヤーにとって、今回3部作となったゲームボリュームは、やはり気になるところ。開発側でも公表しているが、プレイ時間は7〜10時間ほど。ゲームとしては、ひとつの大きな事件の始まりから解決までを体験できる内容となっている。エピソード1の通常価格は2,208円で、ボリューミーかつやや高めだった前作・前々作と比べると、一般的なVRゲームのサイズ感に収まっている(逆に考えれば、3作合わせるとシリーズ最大級のボリュームになることが予想できるだろう)。

一方で、ゲーム自体の密度感は、実際のプレイ時間以上のものに感じられた。台詞やイベント量の多さなど、作り込みが非常に濃い。VRだからこそ体験できる要素が合わさることで、高い満足感を得られるはずだ。

なお、本作はNintendo Switch版が3エピソード込みで予定されている。もちろんMeta Quest 2を持ってない方にとってはSwitch版が手を伸ばしやすいところではあるが、Nintendo SwitchとMeta Quest 2を両方持っている購入予定の方は、ぜひMeta Quest 2のVR版の購入を検討してみて欲しい。それだけ本作は、VRゲームであることのメリットが強く示されている。今すぐ体験できることも踏まえ、こちらをオススメしたい。

間違いなく、これからリリースされるエピソード2、エピソード3への期待を高めてくれるであろう本作。本稿ではゲームの概要こそ紹介したが、この作品に秘められた謎はぜひ自分の手で解いて欲しい。スリルとドラマに満ちた体験が、あなたを待つはずだ。

公式サイトはこちら。
https://dyschroniaca.com/
©Project DYSCHRONIA.

執筆:ノンジャンル人生

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