なにもきかざることもなく
ほのほの白く明るい光を浴びた
上半身裸の若者たち
のんびりと穏やかな休日を
過ごしている
折しも舟に乗り合わせ
呉越同舟向島に出向く人々
日向の岸に帽子をかぶって
寝そべった男と子犬
彼らの視線の矛先にある光景と
彼らの目に届かない
見えそうで見えない優雅な情景
スーラの左目に映る世界の集積
風景は点の集合の線による画面の
拡散と収束
光の水彩パレットが
色彩パラソルを開き
色調パラレルが拡がり
虹の景色軌跡を描く
パリのセーヌ川中州の
グランドジャット島
初夏の午後の日差しの中
日傘をさした着飾った貴婦人達が
日陰に立っている
帽子の先につけた日よけネットの
網目を通して日向の芝生の上に
ペットの子猿が戯れる
ほのほの暗く影さす背景の闇
悪徳 虚栄 欲望
富裕層の腐敗構図
かろうじて救いは真正面にまっすぐ立つ
真白き純白のワンピースを着た
少女の清浄さ
スーラの複眼は世界を両極として
画面に反映させ投射しては
光と影の相即相入の関係を結ばせる
脳髄は2点間焦点の幻影を
見ることを強いられることで
ぼんやりと見ることにきずいた
本当のことは隠されたところにある
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