【Oculus Quest】壁にスプレーで描き殴れ!「Kingspray Graffiti VR」レビュー

2019年10月17日、VR内にグラフィティを描いて楽しめるゲーム「Kingspray Graffiti VR」のOculus Quest(オキュラス クエスト、以下Quest)版がリリースされました。

グラフィティは、現実では犯罪行為(器物損害など)となり得る行為ですが、本作では法に触れる心配なく、“アート”を描くことができます。本記事では、そんな「Kingspray Graffiti VR」のQuest版をレビューしていきます。

グラフィティを安全にエンジョイ

Quest版「Kingspray Graffiti VR」は、2016年にPC版がリリースされた同作品の移植版です。Quest版リリースの告知は、2019年10月、突如として行われました。本作の開発元Infectious Apeは、長期間SNS(Facebook、Twitter)での発信を行っておらず、突然の“復活”は大きな注目を集めました。

「Kingspray Graffiti VR」は、一種のペイントツールのような作品です。ゲーム内にストーリーやスコア要素などはなく、純粋にグラフィティを描くことに特化した作りになっています。ゲームモードは「ソロ」と「オンライン」の2つに分かれており、オンラインでは最大4人でプレイ可能です。


(オシャレなメインメニュー画面。ギャラリーでは他ユーザーのグラフィティを鑑賞できます。)

「Kingspray Graffiti VR」は、右手でスプレー缶を扱い、左手でカラーパレットとスマートフォン(後述)を切り替えて操作します。スプレーの色はデフォルトで用意されているものから選択するほか、パレットから色や光沢などを調整した“カスタムカラー”を作ることも可能です。


(カラーパレット。作った色はパレット右側に最大8個まで保存可能。)

スプレーのノズルも変更可能で、「STANDARD」や「THIN LINE(細い線向け)」や「CHIZLE(広範囲ペイント向け)」など計8種類から、グラフィティにあわせたものを選択できます。

筆者はグラフィティやスプレーアートを実際に描いた経験はありませんが、一通りの感触(各ノズルの性格など)を掴んだ後は、特に迷うことなく絵を描くことができました。スプレーは、吹き付ける距離や勢い(パレットから設定可能)で塗りが変わるようになっており、素人目にはとても“リアル”に感じました。


(筆者渾身の“mogura”グラフィティ。前半と後半でノズルを変えて描きました。)

ただ、肝心のグラフィティを描けるのがマップ内の一部オブジェクトに限定されているのは、プレイしていて残念に感じました。上掲の画像のマップ(Rooftops)だと、「mogura」と描いた壁以外の場所には、スプレーを吹きかけても塗料は付着しません。


(床にスプレーを吹き付けてみるも、色は反映されず。)

ユニークなスマートフォン機能

スマートフォンは、「Kingspray Graffiti VR」の詳細メニューに相当する機能です。左ハンドコントローラーのスティック、あるいはメニューボタンを操作して、パレットと切り替えて使用します。スマホでは、グラフィティのセーブ&ロードのほか、詳細設定(利き腕の入れ替えや“照準”の表示等)やサウンドトラックの再生などが行えます。

本作のセーブは、スマートフォンのカメラ撮影によって、写したグラフィティを保存するというユニークなシステム。手順は現実世界でのスマホ撮影と同じで、画面の撮影ボタンをタッチしてシャッターを切ります。


(ユニークな保存システム。インカメラを使っての自撮りも可能。)

ややクセのある移動面

グラフィティを描く際には、細かい位置移動を繰り返す必要がありますが、Questのワイヤレスという特長のおかげで、移動面では特にストレスを感じることなくプレイできました。

ただ本作の移動は、直接移動(歩行)と位置指定ワープ形式に限定されています。家庭用ゲーム機のようなスティック移動は存在しないため、プレイ環境が狭い(直接移動できない)人は、ワープの繰り返しにストレスを感じるかもしれません。

またこれは完全に筆者の好みなのですが、ワープ移動がクリックではなくホールド(Aボタンを押した状態で移動場所を選びボタンを離す)なのには、少し違和感を覚えました。


(やや独特な使い心地のワープ移動。)

PC版から一部要素はオミット

Quest版「Kingspray Graffiti VR」からは、PC版「Kingspray Graffiti VR」に存在していた一部要素がオミットされています。筆者が確認した限りでは、失敗したときに工程を巻き戻せる“戻し(アンドゥ)”や、PCからイメージを取り込みゲーム中に表示させるプロジェクター機能などが、Quest版では使用できませんでした。マップの数も、Quest版は少なめになっています。

プロジェクター機能が使えないことから、Quest版のプレイヤーは描く絵をすべて記憶するか、脳内で構図を練りながらペイントを行う必要があります。筆者はレビューのために軽くグラフィティを描いた程度ですが、本気で作品制作に取り組む場合、元絵(画像)を確認するための手段が必要になると思われます。

Kingspray - Paint Menu
A relaxing look at the simplified paint menu dropping with the 'Evolved Update' A bit of train spotting too!Music by Anitek

(YouTube公式チャンネルにアップされているPC版の動画。Quest版に存在しないアンドゥなどの機能が確認できます。)

総評として

Quest版「Kingspray Graffiti VR」は、初心者からグラフィティのプロまで、幅広いプレイヤーが楽しめる作品です。本格的に楽しむためには一定の絵心が求められますが、スプレーを振り回しているだけでも独特の爽快感が味わえます。日本語対応はしていませんが、直感的に遊べるので英語が苦手な人でも、そこまで苦労せずにプレイできると思われます。

現時点では、PC版と比較してやや足りない要素のある本作ですが、グラフィティを手軽に描けるペイントゲーム(ツール)というユニークさは、現在リリースされているQuest向けタイトルのなかでも随一です。仮に現在オミットされている要素が今後実装された場合、更に確固たる地位を築くこともできるでしょう。

Quest版「Kingspray Graffiti VR」は、Oculus Storeで購入可能です。

ソフトウェア概要

タイトル

Kingspray Graffiti VR

開発元

Infectious Ape

パブリッシャー

Infectious Ape

対応VRヘッドセット

Oculus Rift(RIft S)、Oculus Quest、HTC VIVE、Valve Index

プレイ人数

1人(シングルプレイヤー)、最大4人(マルチプレイヤー)

価格(税込)

1,480円(Steam)、1,490円(Oculus Store(RiftQuest

公式サイト

Infectious Ape
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