【VR映画ガイド第21回】ペイントツール「Quill」で描かれた少女の物語

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ヴェネツィア国際映画祭 VR部門「VENICE VR EXPANDED」ノミネート作品

第77回ヴェネツィア国際映画祭 VR部門「VENICE VR EXPANDED」にノミネートされた作品です。VRペイントアプリ「Quill」を使い、本格的なVRアニメーション作品に挑戦しています。

物語では、とある一家の生活に焦点が当たります。主人公は10代のステラというサッカー選手の少女。父親のレナードと2人暮らしをしています。母親は人類学者で、仕事のためにほとんど家に帰ってきません。

ステラは16歳の誕生日にオーストラリアでの試合への参加を希望しますが、父親は娘を大切に思うあまり、その願いを拒否してしまいます。親子のバランスが崩れそうになった時、母親からの手紙が届き、ステラはとある決心をします。

少女が大人へと成長する物語は見ごたえ十分です。これまで「Quill」はVRのお絵かきツールという認識しかありませんでしたが、こんなにも深い人間ドラマが描けるのかと驚きました。

オススメのポイント

1. 考えられたキャラクタースケール

冒頭、ジオラマのような小さな部屋のスケール感や少女の大きさに違和があり、「おや?」と思わされました。まだ大人になり切れない少女の閉鎖された世界であることが表現されているようです。

母親からの手紙を手にしたシーンから世界がぐっと広がり、少女の表現も豊かになります。少女の感情的な部分が視覚的に把握できるようになっていました。

2. 360度の空間を巧みに使ったアニメーション表現

私は常々、VR表現とは360度全てを映像で埋めることだけが全てではないと考えていますが、本作ではVRを「360度自由に使えるキャンバス」として捉え、空間を自由に使える楽しさを教えてくれます。

登場人物が自由に360度空間を歩き回り、視線誘導もきちんと考えながら場面転換されていくため、VRならではの映像表現を楽しめます。

3. 父娘をめぐる切ないストーリー展開

小さな部屋から大きな世界に飛び出そうとする少女と、娘を自分の手の届くところに置いておきたい父親。少し胸が苦しくなる物語です。

タイトルにもなっている「Mister Octopus」は父親と少女の思い出の存在。少女から大人に成長するためにステラは大好きだったMister Octopusと別れを告げ、父親は自立していく娘を認めなければならない…。ラストシーンは子供を持つ親として考えさせられました。

作品データ

タイトル

Goodbye Mister Octopus

ジャンル

アニメーション

監督

Amaury Campion

制作年

2020年

本編尺

8分

制作国

フランス、アメリカ

体験できるサイト

Quill Theater(https://www.oculus.com/experiences/quest/2515021945210953/

Trailer

Goodbye Mr. Octopus – Trailer from Studio Geppetto on Vimeo.

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