大手VTuberグループ大集合のイベント「VILLS」の魅力とは?

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7月19日(日)SPWNで大規模Vtuberイベント「VILLS」が開催されました。まりなす(仮)ホロライブ.LiveにじさんじPaletteProject日本烈島など、企業の枠を越えてVtuber・バーチャルアイドルが大集結するとあって、以前からかなり話題になっていました。

出演者が活躍するポイントをしっかりおさえ、タイムテーブルの進行も極めてスムーズ。不安要素がなく安心して全参加者を見ていられるライブになりました。

注目したいのは、出演者にアイドルとして活動しているメンバーが多かったところです。ほとんどの出演者はなんらかのユニットに所属しており、普段から女性アイドルとしての見せ方を心がけているメンツが集まっていました。

「VILLS」は「アイドルイベント」としてのいい部分をスポイトし、VR上での利点をいかして開催されていました。「アイドルイベント」的という観点から「VILLS」の見どころを振り返ってみます。

1・集まることの意義と、バラエティステージと音楽ステージの分離

「VILLS」は第1部がバラエティステージ、第2部が音楽ステージと分かれていました。第1部・第2部は別のチケットを購入する形で、片方だけに参加した出演者もかなりいます。はっきりと分けたことで、それぞれの得意分野がクローズアップ。より一層参加者の個性が引き立つ構造になりました。

どちらにも登壇していた電脳少女シロは、歌がうまくオリジナル曲も持っているVtuber・Vアイドルですが、同時に想像の範疇外のようなトンデモなネタを繰り出してくる(通称・為)独自な個性も人気です。

そんな彼女のトークを前半戦できちんと見られるようにしているのは、ファンにとってかなり高得点だったと思います。特に今回のメンツの中だと彼女はみんなの先輩。後輩である他の面々をいじりつつリードすることで、全体の魅力をより高める立ち回りをしていました。

バラエティステージのみに登壇していたにじさんじ笹木咲の立ち回りも見事でした。後半のシチュエーションボイス対決で、センシティブと捉えられかねない解答を繰り出した彼女。司会者大慌て。これは彼女が普段からおちゃらけつつ周囲を見て活動しているからこそできるアクセルの踏み方でした。

笹木咲自体も笑いを取りつつ、周囲の子たちを純なアイドルとして浮き彫りにした、ナイスムーブです。

音楽ステージでは入れ替わり立ち替わりの出演になるので、どうしても横の絡みは少なくなってしまいます。しかしバラエティステージを入れたことで、普段交流してなかった出演者の絡みを数多く見ることができました。

共演者みんなからかわいがられていたにじさんじ夢月ロアの姿や、激しく元気な舞鶴よかとに詰め寄る電脳少女シロの圧の面白さなど、それぞれの子の魅力炸裂。

出題される問題のほとんどがちゃんと難しく、本気で挑まないといけない内容だったのは、企画者のイベント理念を感じさせるものでした。

2・ボヤッキーのアイドル番組の司会者的立ち回り

バラエティステージは大蔦エルボヤッキーが司会進行を務めていました。今回の「VILLS」はボヤッキーの配役がキモだったと言っていいくらい、彼のポジションは重要です。

アイドル中心のバラエティを行う際、登壇している全員の魅力を引き立たせるため、司会が「とことんいじる」か「とことんいじられる」かのどちらかに振り切る場合が多いです。「ガリベンガーV」の小峠教官のポジションは、前者のスタイルでしょう。今回ボヤッキーは「とことんいじられる」役回りに徹していました。

なにかやらかしたら電流が流れる。出演者がミスっても電流が流れる。理不尽なルールの元、ボヤッキーはサンドバッグ化されています。

そもそも「ヤッターマン」に出ていた時のボヤッキーは敵でやられ役。だからこそ今Vtuberをしているボヤッキーが電流を流されても、痛々しさがあまりありません。ボヤッキーがしびれている時の出演者の満面の笑顔! ステージを明るく盛り上げていました

同時にこの手法は、出演者のフォローにもなっています。全員アイドル・タレント的な活動はしているものの、生放送だとどうしても「すべる」怖さはあります。しかし万が一やらかしても、しっかりした司会の大蔦エルがトークで救ってくれる上に、最悪ボヤッキーがいじってしびれて場をおさめてくれる、という受け皿ができています。保険がかかった状態で、出演者はのびのびと発言することが可能になりました。

ボヤッキー自身もかなり意識していたようで、電撃がちゃんと来なくてスタッフにツッコミを入れるワンシーンも。シチュエーションボイス対決の時、女の子に迫る男性役だったボヤッキーは「今日は私は全てのヘイトを請け負う気持ちで参りました」とピエロになる覚悟を決める発言をしていました。

3・短い時間で次々交代するアイドルライブ手法

「東京アイドルフェスティバル」などのような現実社会のアイドルイベントでは、登壇者の持ち時間は15分から20分。次から次へと出演者が入れ替わっていく公演スタイルの場合が多く、準備時間すらないこともあります。

今回の「VILLS」音楽ステージはこの形式が取られていました。パフォーマンスをした後は舞台袖にはけて、次の演者がパタパタ走って出てくる。司会進行もいません。

そもそもバーチャルだから、舞台袖にはけなくても暗転で入れ替えができるはずです。しかしわざわざ演者は自分の足でちゃんと帰っていく。VR的に手間をかけた、アイドルイベントらしい演出です。

例えばトップバッターのPaletteProjectSPユニットは、舞台に登場する場面からすでにダンスを初めて、印象に残るパフォーマンスを行っていました。

流れるように次々入れ替わることで、約2時間飽きさせないだけでなく、知らないVtuber・Vアイドルも見やすくなっています。多数の出演者が集まる舞台は、視聴者にとっては今まで知らなかったVtuber・Vアイドルを知る貴重な新規開拓の場でもあります。

間をあけず、濃縮した15分くらいで全部味わってもらうアイドルイベントスタイルは、トイレ休憩にいけなくなるほど惹きつけられる引力があります。何より決められた時間で、推しが入退場まで頑張っている様子が見られる、というのは応援しがいがあります。

4・ライブにおけるそれぞれのユニットの特徴の出し方

今回ライブ参加したユニットから、人数が多かった3組のユニットのパフォーマンススタイルを紹介していきます。

ダンスのクオリティが高いことで知られているまりなす(仮)。今回もステージが始まってすぐにダイナミックな踊りで魅了してくれました。ユーロビートスタイルの曲にあわせて、力強い歌声と大きな動きで決めていく4人の息はぴったり。編成チェンジをしながらキビキビとした振り付けのダンスを見せてくれます。

中でも奏天まひろのソロ「ファンサ」では、ダンスもオリジナルのソロ振り付けなことがあって、動きはとても激しく、ターンもかなり頻繁に入れていました。

日本烈島は日本各地のご当地Vtuberが集まってできたユニット。沖縄の根間うい、愛知の大蔦エル、福島のせんのいのり、福岡の舞鶴よかとの4人で、個性も声もばらばら。

舞鶴よかと・根間うい組の声は元気でものすごく高く、大蔦エル・せんのいのり組の声は落ち着いたアルト。同時に歌った時すぐ聞き分けられるくらい声質が異なっている4人ですが、そろうと見事なまでに調和してきれいなハーモニーになっており、そのバランスのよさは配信当日コメントでも話題になっていました。

PaletteProjectSPユニットは、今回9人の中から暁月クララ雨ヶ崎笑虹遠坂ユラ江波キョウカ常磐カナメの5人選抜での登場。全員がアイドル名乗り口上で挨拶をし、初めて見た人にもわかるように自身たちのユニットを紹介。

フォーメーション変化多めのダンス振り付けでそれぞれ全員にスポットを当てながら、めまぐるしくシーンごとにばっちり決めていきます。新曲「きっとアイドル」は軽快なステップの曲。立ち位置がガンガン変わるので非常に舞台映えしていました。

5・IAとONEの登壇

ボーカロイド発のバーチャルアーティスト、IAONEが今回ひとつの枠として登場しているのは、大きな意義のあることでした。いわゆる「Vtuber」ではありませんが、仮想的な歌手として2人は他の出演者と同じ立ち位置にいました。

声自体はボーカロイドです。他のVtuber・VSingerたちを「そこに実在している」という前提で受け止めて見ているように、この2人も「実在している」という向き合い方で見ることができる舞台になりました。

以前VRイベント「Vサマ!」に初音ミクが出ていたこともありました。この時もVtuberと同じ立ち位置の存在として彼女は並んでいます。根本の思想は異なるかもしれないけれども、Vtuber・VSinger・Vアイドルと彼女たちのようなバーチャルアーティストは、演じるに当たっては同じ存在になり、パフォーマンスの垣根が取り払われます。ステージが「Vtuber」という言葉でくくられなくなっていくことで、表現の自由度はより一層高いものになっていくはずです。

大型Vアイドルイベントの意義

本来このイベントは3月21日に東京・名古屋の同時開催を目指していましたが、新型コロナウイルス感染拡大を考慮して延期になり、オンライン開催が決定しました。今回のライブを見ると、リアルライブでやったほうが盛り上がるであろう場面は正直たくさんありました。

しかしアイドルイベント形式を徹底したことで多くの人が見やすくなり、「みんなの魅力を伝える」「知ってもらう」という点ではかなりの効力を発揮していたように思います。オンライン開催だったからこその価値は間違いなくありました。

これだけの規模のイベントを開くのは容易ではありません。しかし企画の軸をしっかり定めた上で多数Vtuberが集まることは、バーチャルなパフォーマンスの発展に有意義なものです。ここから生まれる新しいパフォーマー同士の輪もあるでしょう。

うまく収益があがって定期開催できるようになれば、以前REALITYで出演権獲得アプリ内イベントが行われたように、「VILLSを目指す!」という新人Vtuber・Vアイドルも出てきて、さらに盛り上がっていくかもしれません。今後Vアイドルが目指す大舞台となるだけの、しっかりした運営体制が今回すでにできています。

イベントが大成功だったというのをおさえた上で、もし可能であれば物販も連携してほしい、という願いがわきます。パフォーマンスに心動かされたら、やっぱり物販でグッズを買って応援したい。場合によっては事前通販でペンライトを買って家で振りたい。BOOTHと連携して、多彩なグッズを何かしら売ってもらって、フェス感覚を味わいたい。物理的なグッズが難しければ、メンバーのボイスや特典映像や画像資料集のようなデジタルデータもほしい。感動した後すぐに、財布の紐をゆるめて推しにお金を投げたい。現実のフェスのような盛り上がり方をあらゆる地域で体験でき、思い出を手元に残すこともできるはずです。

次への期待を高めてくれる意味でも「VILLS」は、ファンの応援する「Vアイドル」が輝く場所作りとして、可能性を大きく広げたライブでした。

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