VRアイドルの前に立ちはだかった壁 その試行錯誤をプロデューサーが語る

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講談社プロデュースのバーチャルアイドルプロジェクトHop Step Sing!。虹川仁衣菜さん、椎柴識理さん、箕輪みかささんの3名が活動中のグループです。動画や生配信が主体となるVTuber(バーチャルユーチューバー)とは違い、PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」でのVRコンテンツ提供やコミック配信などを展開しています。

今回MoguLive編集部は講談社VRラボ代表取締役の石丸健二氏に話をうかがい、「Hop Step Sing!」のこれまでの活動の経緯や今後の戦略について紹介してもらいました。

目次

・バーチャルアイドルの先駆けとしてスタート
・新たなる戦略とVR市場の広がりの壁
・新戦略を実施した感触
・これからのVRを見据える国内外の市場
・Hop Step Sing! の今後の展開

バーチャルアイドルの先駆けとしてスタート

「Hop Step Sing!」はバーチャルアイドルの先駆け的な存在です。2016年にスマートフォンに向けて360°VRによるミュージックビデオを配信。さらに2017年よりSteamにて同コンテンツを配信し、Twitterデイリー漫画やマンスリーでのニコ生放送、「マチアソビ」や「ぜんため」などの地方イベントを実施しました。

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2017年といえば、電脳少女シロさんやVRアイドル「えのぐ」の前身となる「あんたま」がデビューした年です。VTuberブームが本格化する以前より生放送を行った上、この時点で360°生配信を実現しています。

キャラを「生身の人間」と感じる VR生放送の可能性 | Mogura VR

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2017年10月には講談社VRラボが設立。石丸氏によれば、この時期に「Hop Step Sing!」のリニューアル・新戦略を考案し、日本や世界で何が需要があるかを試してみることになったそうです。

新たなる戦略とVR市場の広がりの壁

講談社VRラボが打ち出したのは、以下の戦略でした。

1.コミック化コンテンツの背骨となるストーリーを漫画に一本化
2.ハイエンドVRコンテンツ制作コミックとリンクするコンテンツに転換
3.VRChatミカミカルームを開設
4.ニコ生は回数を減らして実施
5.海外のイベントに積極的に出展
6.国内イベントにも出展(TGS,仙台アニメフェス)

認知度の高いVRミュージックビデオは継続しつつ、ストーリーの漫画一本化に合わせてTwitter漫画を廃止し、ニコ生放送は新作発表やコミック発売などの告知があるときに実施。VRChatミカミカルームでは、月1回の模様替え&コミックを無料で読めるようになりました。

また国内イベントにはVRミュージックビデオ覗かないでNakedハート を出展し、2018年9月の「東京ゲームショウ2018(TGS)」では3日間で延べ500人、2019年3月の「仙台アニメフェス」では2日間で130人が体験しています。

石丸氏は、体験者の評価が高く手ごたえを感じるも、TGSでは全体の5割、仙台アニメフェスでは8割“VRは初めて”という状況を知り、VR市場があまり大きくなっていないことを痛感したそうです。

新戦略を実施した感触

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VRミュージックビデオの最新作として、2019年12月に発売された「アストラル・ピース」。本作にはコミック第一話のメンバー出会いのシーンが盛り込まれており、実際にそのリンクに気づいて好感を持ったファンも多く、これまでのメディアミックスの効用が見られたそうです。

石丸氏によれば、メディアミックスでさまざまな切り口で仕掛けるとSNSなどの告知が頻繁にできることがポイントだそう。漫画での物語がベースにあることで、VRコンテンツの企画にも一貫性が生まれるため、ファンにも楽しんでもらいやすいと話していました。

VRChatでは、2019年7月~2020年1月末で、延べ2000アクセスを達成。海外のユーザーが比較的多い状況で、なかなかSNSなどで発信している情報が届かず、アクセス数は期待ほど増えなかったそうです。石丸氏は、VRChatルームに入るまでのプロセスが複雑なためまだまだ気軽なメディアとは言いづらく、手を付けるのがすこし早かったと述べています。
(なお、ミカミカルームは予定通り1月末で一旦サービスを終了)

一番動員数が見込めるのはニコ生(前回5800人が視聴)ながら、単純な番組ではコスト的に見合わなくなる一面も。配信は宣伝や告知が溜まったタイミングで行われるようになりましたが、メディアミックスで宣伝・告知が増えてきた現在、開催する意味や効果が見えやすくなったそうです。

これからのVRを見据える国内外の市場


(↑Animefriendsでミカミカルーム体験中(左)、石丸氏によるトークセッション(右))

2019年7月12日~14日に開催されたブラジルのアニメイベント「AnimeFriendsでは、「覗かないでNakedハート」とミカミカルームを出展し、3日間で約600人が集合。Hop Step Sing ! プロデュースについてのカンファレンスでも、3日間で約250人が参加しました。

石丸氏いわく、この3日間で大きく認知を広めたそうですが、現地の経済状況を考えると高価なVR機器による売り上げの貢献は厳しいと感じたそうです。そのため漫画を売り込んで単行本発売を目指す交渉を開始しました。

また日本同様にVR初体験が90%ほどと低い地域でありながら「ヴェネツィア国際映画祭」のVR部門の最優秀賞をブラジル人監督の作品が獲得しており、(VRそのものに)興味があり学んでいる人も多い印象を受けたとのこと。

一方で、Steamの国別売上ランキングは1位日本(60%)2位中国(25%)3位アメリカ(10%)と、中国は市場としてかなり大きいことに注目。PCゲーム中心の文化であるためかVRも購入されやすく、日本のアニメ ・アイドルコンテンツへの興味も高いと推測。ライバルコンテンツが多くあることは想定しつつも、今年は中国をターゲットにすると語っています。

日本のTGSに目を向けると、まだまだVR環境を個人で整えている人が少ない印象がある一方、アイドルもののVRが人気で、ブースには30分待ちの行列ができるなど、説明いらずのコンテンツはマーケットしやすいそうです。

地方となる仙台アニメフェスではまた違った手応えが。ブラジルのアニメフレンズやTGSと比べ体験者の反応が今ひとつ薄いと思いながらも、家族連れの来場者が多いためか小学生たちのVRに対する食いつきが強く、子ども向けのアーケード向けVRや教育用のコンテンツに何かしらの市場があるのではないかと分析しています。

Hop Step Sing! の今後の展開

「Hop Step Sing! 」は漫画連載やニコ生、VRミュージックビデオのリリースなど、これまでのメディアミックスの展開は続けつつも、2020年は新たな展開へも着手するとのこと。

石丸氏は、ファンからVRライブを期待する声が高まっており、それにこたえて、オリジナル楽曲を5曲持つ強みを生かし「Hop Step Sing!」らしいハイクオリティでVR全開のライブをやってみたいと展望を語りました。そして、さらなるメディアミックス展開で、より大きな相乗効果が生まれるように試行錯誤をしていきたいと話しています。

HMDやコントローラー進化している今、“VR+インタラクティブ”による没入感を高める面白いアイデアこそがコンテンツの優劣を決めるとし、ハイクオリティと評価されている「Hop Step Sing!」らしさを活かして、最新のテクノロジーならではのコンテンツにも積極的にチャレンジしていく意思を語りました。

今後の「Hop Step Sing! 」の動向がどのように変化していくのか、引き続き注目です。

協力:講談社VRラボ
執筆:ノンジャンル人生
【関連/参考リンク】
Hop Step Sing! 公式サイト
Hop Step Sing! YouTubeチャンネル
Hop Step Sing! 公式Twitter
Steam

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