米航空機メーカーのボーイング社は、宇宙飛行士のトレーニングにVR採用します。利用するのは、超高解像度の業務向けVRヘッドセット「Varjo(ヴァルヨ)」。“人の眼レベル”のVRを提供するデバイスを活用し、これまで再現困難だったトレーニングを実践的なレベルに押し上げています。
VRトレーニングの歴史は10年以上
ボーイングの有人宇宙船「スターライナー」は、2021年に国際宇宙ステーション(ISS)でのミッションを予定しています。このミッションに向け、Varjoのヘッドセットを用いたVRトレーニングシミュレーターを採用することが発表されました。
宇宙飛行士向けのVRトレーニング導入は、これが初めてのケースではありません。アメリカ航空宇宙局(NASA)は1985年からVRヘッドセットの検討を進めており、これまでにもマイクロソフトのMRデバイス「HoloLens」等を活用してきました。またボーイング自身も、2017年からVRのハード/ソフト導入にトライしています。
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しかしVarjoによれば、これまでのVRヘッドセットでは解像度に限界があり、ISSとのドッキングといったトレーニングを行うのは困難でした。
鍵は”VR内でも自然に見える”
今回、Varjo製デバイスの導入で鍵となったポイントは、高い解像度により、宇宙飛行士がVR内で文書やディスプレイ、ボタンといったものを自然な視点から読み取れるという点です。これにより、コックピット内でのトレーニングが実践的なものになりました。
VRトレーニングがもたらすメリットは、訓練用コックピット作成のコストや時間が削減できることだけではありません。ヘッドセットさえあればどこでもトレーニングが可能なため、例えば感染症の流行下でも訓練が行なえます。また、緊急事態といった現実には難しいシチュエーションも再現できます。
スターライナーのクルーは、このVRトレーニングプログラムを数百時間実施。打ち上げやドッキング、着陸といった訓練を行い、2021年の任務に備えるといいます。
(参考)Road to VR
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