個人でもできる! お手軽フルトラッキングツール&アプリまとめ

全身の動きをVRで再現する技術(フルトラッキング技術)は、バーチャル空間でアバターを自由に動き回るために必要ですが、以前は最低でも20万円以上の機材が必要で非常にハードルの高い技術のひとつでした。

しかし近年、このフルトラッキングを安価に実現する手段が続々と登場しており、中には基本無料のスマートフォンアプリでフルトラッキングができるものも登場しつつあります。

本記事では、比較的お手軽かつ安価に利用できる、フルトラッキングデバイスやアプリを紹介します。

HaritoraX

「HaritoraX」は、下半身のトラッキングに特化したフルトラッキングデバイスです。外部センサー不要で単独で動作するのが特長です。Oculus Quest 2との併用も可能なうえ、SteamVRに対応しているため、「VRChat」「cluster」「Virtual Motion Capture」といった幅広いアプリでも動作するとのことです。

汎用性の高さと運用難易度の低さをあわせもち、さらに価格は27,900円(税込)とお手頃です。現在、8~9月出荷分の予約が受付中です。

使用用途

VRプラットフォーム

○(VRChat、cluster)

VRゲーム

○(対応タイトルのみ)

VTuber化

○(Virtual Motion Capture使用など)

スマホアプリからの配信など

公式サイト
https://ja.shiftall.net/archives/product_page/haritorax/

TDPT

「TDPT」はスマートフォンで使用できるモーションキャプチャアプリです。スマートフォンのカメラ映像か動画ファイルをもとに、アバターへ全身の動きを反映させることができます。基本使用は無料です。

スマホで動作するモーションキャプチャアプリとしてはトラッキングの精度が高めです。有料の追加機能として、VRoid Hubとの連携によるアバター変更、モーションデータの送信・書き出し(VMD、BVH形式)なども行えます。iPhone専用アプリとなっており、iPhone11以上が動作対象となっています。

公式サイト
https://digital-standard.com/tdpt_lp/

使用用途

VRプラットフォーム

VRゲーム

VTuber化

○(プレミアム版はYoutubeのエンコーダライブなどで配信可能)

スマホアプリからの配信など

○(プレミアム版はReplay Kitでミラーリング配信可能)

ミチコンPlus

「ミチコンPlus」は、スマートフォンで使用できるモーションキャプチャアプリのひとつ。こちらも「TDPT」同様に、スマートフォンのカメラ映像か動画ファイルでアバターへ動きを反映できます。

また、AR機能でアバターを現実とARの合成も可能です。基本利用は無料ですが、有料でVRoid Hubとの連携によるアバター変更、モーションデータの書き出し(CSV形式)が行えます。

iPhone専用アプリとなっており、iPhone XS以上からが動作対象です。

公式サイト
https://www.next-system.com/michicon

使用用途

VRChat

VRゲーム

VTuber化

○(配信ソフトで切り抜いて動画化可能)

スマホアプリからの配信など

ThreeDPoseTracker

「ThreeDPoseTracker」はWindows10用のモーションキャプチャアプリです。USBカメラか動画ファイルをもとにアバターへ動きを反映できます。

トラッキング精度は高めで、無料で自由にVRMアバターを読み込み可能です。ただし動作保証となっているマシンスペックはやや高め。また非営利利用のみである点には留意が必要です。

公式サイト
https://digital-standard.com/tdpt/

使用用途

VRプラットフォーム

VRゲーム

VTuber化

○(配信ソフトで切り抜いて動画化可能)

スマホアプリからの配信など

☓(iOS向けのアプリケーションも開発中)

MocapForAll

「MocapForAll」は、Windows専用のモーションキャプチャアプリです。最大の特徴はWebカメラを最低2台(最大100台)を用いてトラッキングする点で、これによって相当に高い精度で全身の動きをトラッキング可能となっています。

「Virtual Motion Tracker」を介せばSteamVR上でもフルトラッキングを反映可能とのことです(HMDは別途必要)。

Webカメラを2台以上用意する点や、ミドルクラスのマシンが必要な点、そのほか導入面などで多くの準備が必要になりますが、そのハードルに見合った精度を発揮します。価格は9,999円(税込)ですが、無料体験版で動作検証を行うことができます。

公式サイト
https://vrlab.akiya-souken.co.jp/product

使用用途

VRプラットフォーム

○(VRChat)

VRゲーム

○(対応タイトルのみ)

VTuber化

○(配信ソフトで切り抜いて動画化可能)

スマホアプリからの配信など

Uni-motion

「Uni-motion」は、胸(1個)、腰(1個)、両足(各2個ずつ)の計6個のセンサーで構成されるフルトラッキングデバイスです。こちらも外部センサー不要で単独動作し、ジャンプや逆立ちまでトラッキング可能。Oculus Quest 2やHTC VIVEといった主要VRヘッドセットで動作し、SteamVRを介するため「VRChat」「Virtual Cast」「Neos VR」「Virtual Motion Capture」と対応アプリも豊富です。

スペック的には高性能さと運用面の難易度の低さが両立しており、それでありながら価格は49,500円(税込)に収まっています。なお、2021年6月現在はプレオーダーが終了しています。

公式サイト
https://www.uni-motion.com/

使用用途

VRプラットフォーム

○(VRChat、Virtual Cast、Neos VR)

VRゲーム

○(対応タイトルのみ)

VTuber化

○(配信ソフトで切り抜いて動画化可能)

スマホアプリからの配信など

VIVEトラッカー

最後に、コンシューマ向けのフルトラッキングデバイスの代名詞である「VIVEトラッカー」も紹介します。

VIVEトラッカーは、VRヘッドセットであるHTC VIVEシリーズのオプションデバイスであり、人間のみならず物体にも取り付けて「VR空間へ物を持ち込む」といったことも可能です。人間のフルトラッキング用途で使用する場合は、最低でも3台(腰に1台、両足に1台ずつ)、最大では7台(腰に1台、両足、両膝、両肘に1台ずつ)が必要となります。

1台の価格は、旧機種である「VIVEトラッカー 2018」は12,731円(税込)、新機種である「VIVEトラッカー 3.0」は17,500円(税込)となっており、個人で3台そろえるのは価格的なハードルが若干高めです。さらに運用には外部センサーとVR HMD(※Lighthouse規格のアウトサイドイン方式)、それを動作させる高性能なPCが必須です(トラッカーに対応したドングルを挿すためのUSBポートも必要)。また、「VRChat」のようにアプリケーション単独でフルトラッキングを運用できるケースもあれば、アバタートラッキング用のアプリケーションを経由してゲームと合成する必要があるケースもあり、それぞれに柔軟に対応するための知識も必要となります。

その分、価格に見合った非常に安定かつ高精度なトラッキング精度を誇ります。一度検討してみるのも良いかもしれません。

公式サイト
https://www.vive.com/jp/accessory/tracker3/

使用用途

VRプラットフォーム

○(VRChat、Virtual Cast、Neos VRなど)

VRゲーム

○(対応タイトルのみ)

VTuber化

○(配信ソフトで切り抜いて動画化可能)

スマホアプリからの配信など

執筆:浅田カズラ